ライフスタイルや家族構成の変化、環境や経済状況の変化などで、「家を売りたい」と考えている人の中には、次のような不安や疑問も持っている人も少なくないと思います。
- 家が売れるまでにどんなことがあるの?家を売る流れを知りたい
- ローンの残債が残っている家を売ることはできるの?どんな手続きがあるの?
- どんな流れで新居に引っ越すの?
- 家の相場の調べ方を知りたい
そこで今回は、家を売る際の全体の流れや手続きについて解説していきたいと思います。
家を売る最初の一歩は理由の整理から
家を売ることを決めたら、まず、売却する理由を整理しましょう。
家を売る理由は、「子どもの成長に伴い、広い家に住み替えたい」「定年を機にUターンしたい」など、さまざまだと思います。
家を売る理由を具体的に整理しておくことで、「住み替えの時期をいつ頃にするか」「手元の資金はどの程度あるか」など、自分自身の希望条件や経済状況に合わせて、売却活動のゴールを明確に設定することができます。
また、家を売る理由によって、それぞれ注意すべきポイントが変わってくるので、不動産売却において、出口戦略を明確にすることはとても重要なのです。
売却の理由を整理し、おおよそのゴールを想像できたら、次は家を売る際の全体的な流れをしっかり把握しておきましょう。
家を売る流れを理解しよう
家を売る際に踏むべきステップは主に9つあります。
- 相場を知る
- 不動産会社を探す
- 物件価格の査定依頼をする
- 不動産会社と媒介契約を結び、仲介を依頼する
- 不動産を売りに出す
- 購入希望者と交渉する
- 物件情報を開示する
- 売買契約を締結
- 不動産を引き渡す
ステップ1 相場を知る
家を売ることを決めたら、「いくらくらいで売れそうか」大まかな目安を把握しましょう。
物件の周辺相場を調べたり、不動産市場の大まかな動向なども掴んでおくといいでしょう。
ステップ2 不動産会社を探す
家の売却の成否は、信頼できる不動産会社と出会えるかにかかっていると言っても過言ではありません。
「大手に依頼するのか?」「地元の不動産会社にするのか?」、まずは手広くまんべんなく不動産会社の情報を収集しましょう。
なお、不動会社の選び方については、「家を売る際の不動産会社選びで必ずチェックすべき3つのポイント」で詳しく解説しているので、よければ参考にしてみてください。
ステップ3 物件価格の査定依頼をする
不動産会社との付き合いは、物件の価格査定を依頼するところからスタートします。
査定では、売る家の価格をプロの目で見極めてもらいます。
物件や地域によっては不動産会社ごとに得意不得意があり、査定額にばらつきが出る場合もあるので、査定については、複数の不動産会社に依頼してみるといいでしょう。
複数社に査定を依頼する際には、『一括査定サイト』を使うと便利です。
一括査定サイトに関しては、「【2019年最新版】おすすめはコレ!不動産一括査定サイトランキング」でおすすめの一括査定サイトをランキング形式で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ステップ4 不動産会社と媒介契約を結び、仲介を依頼する
不動産会社に売買の仲介を正式に依頼する際には、媒介契約を結びます。
主な媒介契約の形態は3つあります。自分の希望する売却方法などを考慮して、どの契約を結ぶか決めましょう。
3つの媒介契約について詳しく知りたい方は、「家を売る際の媒介契約はどれがおすすめ?各契約内容を徹底比較!」で、媒介契約について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
ステップ5 不動産を売りに出す
自分の希望売却価格や、不動産会社の査定価格、周辺の売却事例、市場の動向などを踏まえて、売り出し価格を決定し、売りに出します。
売り出し価格は、その後の売却活動に大きく影響するので、不動産会社ともよく相談して慎重に決めてください。
ステップ6 購入希望者と交渉する
購入希望者が現れたら、物件の内覧をしてもらい、売却条件の交渉をします。
価格の交渉も大切ですが、その他の条件についても、譲れる点と譲れない点を明確にして交渉に挑みましょう。
ステップ7 物件情報を開示する
物件に関する情報はできるだけ正確に購入希望者に提供しましょう。
特に、物件の不具合や欠陥などが、契約締結後に発覚するとトラブルになります。
場合によっては、契約解消や損害賠償請求にも発展する事もあるので、誠実に購入希望者に伝えることが大切です。
また、不動産会社が仲介する場合は、「重要事項説明」という制度に基づいて詳細な物件説明を行いますので、不動産会社の物件調査にも協力しましょう。
ステップ8 売買契約を締結
売買条件で合意に至ったら、買主と売買契約を結びいます。
この時、物件価格の10%~20%程度の手付金を買主から受け取るのが一般的です。
売買契約を結ぶ際は、契約内容をしっかりと確認しましょう。
なお、売買契約を締結する際に必要な書類については、「【家を売る際の必要書類まとめ】紛失した場合の対策もあわせて解説!」で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
ステップ9 不動産を引き渡す
売買代金の受領と、登記申請(抵当権抹消、所有権移転等)を行う引き渡しの手続きをします。
細かな設備・備品等の取り扱いなどについても、買主と現地立ち会いを行った上で十分に確認をしましょう。
引渡し後の確定申告など、税務の手続きも忘れないようにしてください。
引き渡し当日の詳しい流れを知りたい人は、「家を売る際の引き渡しの流れは?必要な準備や注意点など徹底解説」で詳しく解説しているのでご参照ください。
家を売る時の所有権移転と登記の流れ
無事に家の買い手が見つかれば、売買契約を締結し、引き渡しとなりますが、不動産売却時には所有権移転をしなければ、本当の意味で物件は買主のものになりません。
ここでは、家を売る際に必ず必要になる所有権移転のタイミングと登記の流れについて解説します。
物件引き渡しと同時に所有権移転をしよう!
所有権や地上権、抵当権、賃借権など、不動産にまつわるさまざまな権利は公の帳簿である「登記簿」に記載され、一般に公開されています。
不動産を売却したり相続した場合は、所有権が移転したことが登記簿に記載されてはじめて、その不動産の所有者は自分であることを買主は主張できます。
このことを「所有権移転登記」といいます。
不動産を引き渡す際には所有権移転登記も行うので、不動産の引き渡し期日までに登記の準備をしておく必要があります。
所有権移転登記に必要な書類には以下のものがあります。
- 登記原因証明情報(売買契約書など)
- 登記済証または、登記識別情報
- 売主の印鑑証明書
- 買主の住民票
- 固定資産評価証明書または、課税明細
一つずつ詳しく確認していきましょう。
登記原因証明情報
登記申請書には、登記原因証明情報として、売買があったことを証明する書面を添付します。
登記原因証明情報として、売買契約書を添付することもありますが、それだと、契約の細かい内容が公開されてしまうので、現在では、別途登記原因証明情報を作成し、これを提出することが多くなっています。
登記済証
売主が所有権を取得した際に、登記完了時に登記済証(権利証)を受け取っている場合は、その登記済証を添付します。
ただ、2005年以降は、登記済証の代わりに登記識別情報(12桁の数字・記号)を記載した「登記識別情報通知書」が発行されているはずなので、こちらを用意します。
売主の印鑑証明書
所有権移転登記では、所有権を失う側の印鑑証明書の提出も必要です。
印鑑証明書は、3ヶ月以内に発行されたものでなければなりません。
買主の住民票
所有権移転登記をする際には、所有権を得る側の住民票が必要です。
登記申請書に住民票コードを記載した場合は、住民票の添付を省略することもできます。
固定資産評価証明書
登録免許税の計算のために固定資産評価額が分かるものが必要です。
固定資産評価証明書を取得するか、納税通知書に添付されている課税明細書の写しを添付します。
まとめ:家を売る際は全体の流れを把握しよう
以上、家を売る際の全体の流れと引渡し当日に行う所有権移転登記について解説しましたが、売却までの流れはイメージできたでしょうか?
もし、住宅ローンが残っている場合や、売主の現住所や氏名が登記簿上の住所と異なる場合は、別途手続きが必要になるので、該当する場合はそちらの流れも押さえておきましょう。
まずは家を売る目的をしっかりと整理しよう
家を売ろうと思った際、いきなり不動産会社などに相談に行くのは得策ではありません。
家を売る目的を明確にし、下調べをして、将来設計や資金計画を立て、ゴールをある程度ハッキリとさせてから、実際に行動に移しましょう。
家を売るということは、一生に何度もある事ではありませんが、成功するか失敗するかでその後の人生が大きく変わることもあります。
全体の流れをしっかりとつかんで、慎重に進めていきましょう。