不動産売却において、ときどき勘違いしている人がいますが、売却価格がそのまま手取り額になるというわけではありません。
不動産売却では、売却に関する諸費用や税金の支払いがあるので、その分、手取り額は減ってしまいます。
不動産売却に関する諸経費諸々を差し引いたら、「ほとんど手元にお金が残らなかった」という可能性もゼロではありません。
そのため、売却にかかる諸費用を把握しておくことはとても重要です。
そこで今回は、不動産売却時に発生する諸費用をまとめてご紹介していきたいと思います。
不動産売却時に支払うべき諸費用一覧
不動産を売却した際に諸費用が発生するタイミングには次のようなものがあります。
- 仲介
- 契約時
- 抵当権抹消
- 税金
- 測量
- その他
諸費用の大枠を一覧にまとめると次のようになります。
費用項目 | 内容 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介 | 不動産仲介手数料 | 売買契約時、残金時 |
契約時 | 印紙税 | 売買契約時 |
抵当権抹消 | 抵当権抹消費用 | 残金時精算までに |
税金 | 譲渡所得税 | 所得税は2月16日~3月15日 住民税は6月、8月、10月、1月などの年4期 |
測量 | 測量費用 | 測量依頼の契約前に |
その他 | 処分費、契約費、各種証明書の発行費 | 通常、売却決定後 |
これらの諸費用の内容を一つずつ詳しく解説していきます。
「仲介」で発生する諸費用
不動産売却時に不動産会社に仲介を依頼すると、仲介手数料が発生します。
まずは、この仲介手数料について解説します。
仲介手数料でトラブらないために知っておくべきこと
仲介手数料は不動産会社側が決めることができるものですが、その上限は、次の計算式で求めることができます。
この上限を超えなければ、不動産会社は仲介手数料を自由に決めることができます。
仲介手数料は、売却達成の成果報酬なので、ほとんどの不動産会社が仲介手数料を上限額に設定していますが、中には仲介手数料が無料の会社もあります。
仲介手数料について詳しく知りたい方は「家を売る際の仲介手数料の相場や計算方法は?無料の会社は怪しい?」の記事もご参照下さい。
「契約」と「抵当権抹消」時に発生する諸費用
契約時に支払う諸費用の中には「印紙税」があります。
また、抵当権が付いている不動産の場合は、抵当権を抹消するための費用が別途でかかります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
印紙税
印紙税とは、売買契約書に貼る印紙のことで、定められた金額の印紙を貼って消印することで納税したとみなされます。
印紙税は、売買契約書に記載されている金額、つまり物件の売買価格によって税額が異なります。
記載金額 | 税額 |
---|---|
1万円未満のもの | 非課税 |
10万円以下のもの | 200円 |
50万円以下のもの | 200円 |
100万円以下のもの | 500円 |
500万円以下のもの | 1,000円 |
1,000万円以下のもの | 5,000円 |
5,000万円以下のもの | 10,000円 |
1億円以下のもの | 30,000円 |
5億円以下のもの | 60,000円 |
10億円以下のもの | 160,000円 |
50億円以下のもの | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 480,000円 |
記載金額のないもの | 200円 |
※ 平成32年3月31日までの適用
売買契約書は売主保管用と買主保管用の2通作成されるので、2通分の印紙税が必要ですが、通常は、売主と買主それぞれが1通分ずつ負担します。
なお、仲介会社と締結する媒介契約書には印紙税はかかりません。
抵当権抹消登記にかかる費用
金融機関などで住宅ローンを組んでいる場合は、「担保設定の契約」を交わしますが、その際に、金融機関は対象となるあなたの不動産に抵当権を設定しています。
抵当権とは、ローンが返済されなくなった時の権利を主張するもので、返済が滞った時は、あなたの不動産を競売にかけることで融資した金額を回収できる権利を意味します。
抵当権がついたままだと、競売にかけられてしまうおそれがあるので、そんな不動産を購入する人はまずいません。
そこで、不動産を売却する前に抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を抹消するには、「抵当権抹消登記」をするのですが、これにも登記費用がかかります。
さらに、この手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬額も発生します。
発生する費用は、抵当権抹消のための登録免許税が不動産1戸につき1,000円で、司法書士手数料の相場は2万円前後です。
「税金」で発生する諸費用
不動産売却の際にかかる税金は主に「譲渡所得税」と「消費税」の2つです。
それぞれ解説します。
譲渡所得税
譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つがあります。
- 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える物件
- 短期譲渡所得:所有期間が5年以下の物件
譲渡所得税については、「家を売ると所得税がかかる?計算方法や控除を活用した節税方法を解説」で詳しく解説していますので、ご覧ください。
消費税
不動産売買において、消費税に関しては、非課税のものと課税対象になるものがあります。
具体的に言うと、土地は非課税で建物は課税対象です。
ただ、建物に関しても、課税対象となるのは事業者のみです。
個人が居住用の建物を売っただけの場合は、課税対象にはなりません。
一方、個人であってもテナントや投資用マンションなどの不動産を売却する際には、課税対象になるので消費税を納める必要があります。
「測量」で発生する諸費用
売却した物件に土地が含まれている場合、「測量費用」のことも考えておかなければなりません。
測量費用についても詳しく見ていきましょう。
測量とは?費用はどのくらいかかる?
隣地との境界がはっきりしていない場合や、測量図などと明らかに土地の大きさが違うような場合は、隣地との権利関係をはっきりさせるために測量を行う必要があります。
測量に関する費用は、売主が負担するのが一般的です。
ここでは、測量に関して、覚えておくと便利な「確定測量」と「公簿売買」をご紹介します。
確定測量
確定測量とは、測量の基準となる境界を明確にしたり、その境界の地権者の確認のために新たに登記することです。
この費用は、土地面積によって違ってきますが、30~100坪程度なら35万円~50万円程かかります。
また、国や市の立ち会いが必要な場合、費用は55万円~80万円ほどになります。
公簿売買
公簿売買とは、公図をもとに、既に登記されている面積を正しい内容とみなして売買する方法です。
実際の土地と若干の相違があっても、両者が納得すれば契約を締結することができます。
そのため、測量の費用を抑えたい人は、売り出しの条件を『公簿売買』にするといいでしょう。
まとめ:不動産を売却するのにも費用は発生する
ここまでに紹介してきた費用は、売買金額や不動産の条件によって相場が決まっていることが多いです。
また、これらに加えて、引っ越し費用や仮住まいするならそのための費用が必要になります。
売却直前でバタバタすることがないように、これらの費用についてもしっかりと準備をしておきましょう。
控除などを利用して費用を上手に抑えよう
不動産売却においては、いくつかの控除が受けられる可能性があるので、それらの適用条件をご自分が満たしているかどうか、一度確認してみると良いでしょう。
特に、マイホームを売却する場合には、3,000万円の特別控除の特例などを適用すると譲渡所得税が課税されない可能性もあります。
控除について「もっと詳しく知りたい」という方は、「所得税が無課税に!?家を売る時にぜひ知っておきたい特例・控除まとめ」で控除についてまとめて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
実際に支払いが生じたときに焦らなくていいように、不動産売却にかかる費用をしっかりと押さえ、納得のいく売却をしてくださいね。
コメントを残す