家を売る際のトラブル事例を会社間・買主間の2パターンで解説!

家を売る際に気になるのが、『トラブル』ではないでしょうか?

「うちは雨漏りがするのだけど、損害賠償された」「想定外の費用を請求された」など、不動産売却にはトラブルに関する不安がつきものです。

「不動産会社に任せておけば上手くやってくれるだろう」と考えている人もいるかもしれませんが、その不動産会社とトラブルになることもあります。

売主が正しい知識や情報をもってトラブルの対処法を知っておくことが、トラブルを避けるための最大の秘訣といっていいでしょう。

そこで今回は、不動産売却で頻繁に起きるトラブルとその対処法を解説していきたいと思います。

家を売る際に不動産会社との間で起こりがちなトラブル

不動産会社とのトラブル

家を売る場合、方法はいくつかありますが、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。

そのため、不動産会社とのトラブルも多いです。

中には、意図的に騙そうとする悪徳業者もいるので、注意が必要です。

そこで、まずはじめに不動産会社との間で起こりがちなトラブルをご紹介します。

  • 売買契約書の内容に対する認識が違うことが原因のトラブル
  • 広告宣伝費を請求された・仲介手数料を上乗せされた
  • 販売価格を下げるように要求された

売買契約書の内容に対する認識が違うことが原因のトラブル

家を売る際は、不動産会社に査定依頼をし、査定額に納得できれば媒介契約を結ぶ、というのが大まかな流れです。

そして、買主が見つかったら売買契約を結びますが、売買契約書の内容が「口頭で聞いていたのと違う」「聞いていない項目が入っている」などということがあります。

不動産会社の説明不足だったり、売主の理解不足という悪意がないケースもありますが、中には、売買契約を成立させたい業者によって、売主に不利な条件が盛り込まれることもあるようです。

売買契約書の記載は非常に細かいので、しっかりと確認せずに署名捺印をしてしまう人も多いですが、売買契約書は契約締結前にきちんと読み込んで、内容を理解し、納得した上で署名捺印をしましょう。

売買契約書の内容をチェックする時のポイントは、納得できるかどうかです。

理解できない項目や曖昧な点があれば、必ず納得するまで確認するようにしてください。

また、必要な場合は、不動産売却に強い弁護士や司法書士に相談するのも一つの方法です。

さらに、「言った」「言わない」のトラブルを回避するために、不動産会社とのやり取りを記録しておくことも有効です。

例えば、口約束は法的な効力を持たないので、トラブルの原因になりやすいです。

ですから、『話し合った内容はメールで担当者に共有しておく』『相手に許可を得て会話を録音しておく』などの対策が必要でしょう。

広告宣伝費を請求された・仲介手数料を上乗せされた

不動産会社に仲介を依頼して売買契約が成立した場合、『仲介手数料』を支払うことになります。

仲介手数料自体は、不動産会社の貴重な収入源なので、なんら違法なものではありません。

ただ、仲介手数料とは別に特別な広告宣伝費などを請求されたり、仲介手数料を上乗せされたりしてトラブルになるケースがあります。

不動産会社は、売主の特別な依頼に基づいて発生した広告費用などの実費を請求することができますが、これはあくまでも、売主の依頼に基づいて発生したものだけです。

売主側から要求したわけでもなく、媒介契約書にも記載がないのに仲介手数料とは別の名目で費用を請求された場合は、費用を支払う義務はありません。

このトラブルを回避するには、媒介契約を結ぶ前に媒介契約書の内容をしっかりと確認し、不明瞭な点がなくなるまできちんと説明を受けることです。

特に、仲介手数料などの金銭に関わる項目は、納得のいくまで確認しましょう。

販売価格を下げるように要求された

家を売り出してある程度期間が経つのに、購入希望者が現れない場合、不動産会社から「販売価格の見直し」を提案されると思います。

この際、不動産会社からきちんと説明があり、売主がそれに納得して、販売価格を下げるのであれば問題はありませんが、不動産会社のほうから半ば強引に値下げを要求されて、それに応じた場合は、トラブルに発展することがあります。

販売価格の値下げは、やむを得ない場合もありますが、不動産会社側の利益を優先するために提案されることもあるようです。

例えば、以下のケースがあげられます。

  • 成約件数を稼ぎたい
  • 安くすることで買主を見つけて両手仲介にしたい
  • 簡単に買取業者に売却したい

販売価格の値引きを要求された場合、トラブルを回避するには、しっかりと説明を受け、金額や方法に納得した上で同意することです。

逆に、納得ができない場合は、媒介契約を解除し、他の不動産会社へ依頼することを検討してもいいでしょう。

ただし、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、他の不動産会社に売却依頼をするために媒介契約を解除すると違約金が発生します。

この場合は、媒介契約の満了まで待って契約更新を拒否するのが得策です。

家を売る時は買主・購入希望者とのトラブルにも注意!

買主とのトラブル

不動産売却は「売買契約を締結すれば終わり」と考えている人も多いようですが、不動産売却のプロセスとしては、半分くらいが終了したに過ぎません。

なぜなら、契約を結んだからといって買主が心変わりしない保証はありませんし、無事に決済・引き渡しが終わって売主にお金が入ったとしても、数年後に買主から損害賠償請求をされることもあり得るからです。

ここでは、買主との間でよくあるトラブルについてご紹介します。

  • 買主が契約を解除してくる
  • 買主が住宅ローン審査に落ちる
  • 売却後に買主から損害賠償請求を受けた

買主が契約を解除してくる

売買契約は売主と買主が合意することではじめて成立しますが、契約締結後に解除されることもあります。

これは必ずしも違法なことではなく、民法では「手付解除」という規定を設け、買主側にも売主側にも契約解除の選択肢を認めています。

買主の中には、売買契約を結んだ後も「より良い物件はないか」と物件探しをする人もいます。

そして、より良い物件が見つかれば、「すでに売買契約を結んだ物件を解除したい」となるのですが、これは売主側からするとかなりの打撃ですよね。

そこで、不動産の売買契約を結ぶ際に買主が売主に『手付金』を払うのが慣例となっています。※法令上、手付金を支払う義務はありません。

手付金は、土地や建物の売買代金の一部として充当され、買主は売買契約時に手付金を支払い、決済・引き渡し時に手付金を差し引いた残金を支払います。

この手付金は、多くの場合、売主・買主の双方に不動産売買契約の解除を認める「解約手付」としての意味を持ちます。

つまり、不動産の売買契約成立後でも、契約の履行に着手する前であれば、一定の条件を満たすことで相手方の承諾がなくても契約を解除できるのです。

この事態を避けるために、売主は「手付金の金額」「手付解除期日」に注意する必要があります。

買主にとって、手付金の金額が少ないほど、契約を解除することへの心理的ハードルは下がります。

そのため、売主はできるだけ高めに手付金を設定すべきです。

ただし、手付金が高すぎると、売買契約そのものが成立しない場合もあるので、目安としては、不動産の売買金額の5%~10%の間で設定しましょう。

また、手付解除期日とは、売買契約を手付解除できるリミットのことで、手付解除期日までの期間が長いと、買主が契約を解除する可能性は高くなります。

そのため、解除されるリスクを下げるためには、手付解除期日までの期間をできるだけ短く設定することがポイントです。

一般的には、売買契約日から1ヶ月前後の日を手付解除期日にします。

ちなみに、手付解除期日を過ぎてからでも買主は契約を解除することできますが、その場合、買主は『違約金』を支払うことが一般的です。

この違約金に関しても、トラブルを回避するために、売買契約書にどういった記載があるか契約締結前に確認しておきましょう。

買主が住宅ローン審査に落ちる

不動産売買では、多くの買主が住宅ローンを利用して金融機関から融資を受け、不動産を購入します。

ただ、必ずしも買主が住宅ローンの審査に通るとは限りません

買主が住宅ローンの審査に落ちると、融資を受けられず、不動産も購入できなくなります。

そのため、通常は住宅ローン利用を前提とする売買契約では、「住宅ローン特約」が設定されています。

住宅ローン特約では、審査に落ちて融資を受けられない場合、買主は売買契約を解除できます。

この特約が適用されると、違約金はおろか手付金も買主に返金されます。

これは、買主を保護するための特約であり、この住宅ローン特約に関しては、売主側は回避する術がありません。

変に売主側から要求を出すとトラブルのもとになりますので、素直に応じるのが得策です。

強いて対策方法をお伝えするとすれば、不動産会社に信用の高い買主を見つけてもらうように持ち掛けたり、不動産会社との連絡を密にし、買主に関して少しでも多くの情報を手にすることくらいです。

売却後に買主から損害賠償請求を受けた

トラブルは不動産売却後にも起きることがあります。

一番トラブルの原因として多いのが、『瑕疵担保責任』です。

瑕疵担保責任とは、不動産を売却したあとに瑕疵が見つかった場合に売主が負う責任のことです。

瑕疵とは、取引の目的である土地や建物に何らかの欠陥があることをいい、何が瑕疵かは、その物件が普通なら備えているはずの品質や性能、または、契約者の要望・要件を満たしているかが基準になります。

具体的には、シロアリや雨漏りなどが該当します。

売主が個人である場合は、「瑕疵担保免責特約」を設けて売買契約を結びます。

この特約があれば、売主は瑕疵担保責任を免責されますが、売主が瑕疵を知りながら告げていなかった場合は特約は無効になります。

瑕疵を知りながら、売主が不動産を売却した場合、買主から損害賠償請求をされることになりますが、このトラブルを回避する方法は、認識している瑕疵については、不動産会社を通して買主に告知することです。

また、あらかじめインスペクションを受けたり、修繕しておくこともトラブル回避には有効でしょう。

家を売る際に実際にあったトラブル事例

実際にあったトラブル事例

ここでは、実査にあったトラブルの事例をご紹介します。

プライバシー保護のため、細部に関しては、内容そのものに影響がでない程度に変えていますので、ご了承下さい。

■ 経験不足の不動産会社に依頼してトラブル発生

「解体から売却まで全て任せてください」という謳い文句を信用して、不動産売却を依頼したところ、1ヶ月後に買い手が見つかりました。

ところが、建物を解体する段階になって、「解体業者が手一杯なので、そちらで探してください」と言われてしまいました。

不信感はあったものの、何とか解体業者を見つけたのですが、今度は境界線の明示が必要なので、「測量してください」と不動産会社に言われました。

その測量時に、過去にトラブルがあり、隣人に立ち合いを拒否されて測量ができず、結局、売買契約は成立しませんでした。

一番最初に測量を勧めるべき不動産会社から、あろうことか文句を言われて、非常に不愉快な思いをしました。

このトラブルの原因は、明らかに経験不足の不動産会社に不動産売却の仲介を依頼してしまったことにあります。

解体・境界の明示などは、売却依頼を受けた不動産会社の基本的な「物件調査」の内容です。

さらに、境界線について「過去のトラブル」や拒否があるなら、不動産会社は「境界について隣地との問題あり」などと、買主に告知する義務があります。

実は、不動産会社にも得意分野があり、「賃貸仲介・賃貸管理」を主業務としている会社が多く、「売買仲介」専門の不動産会社はごく一部です。

ですから、上記のように、経験の浅い不動産会社を仲介を依頼してしまうと、トラブルになることがあります。

■ 認識していない瑕疵について損害賠償請求された

別荘として使っていた築22年の一戸建てを不動産会社と専任媒介契約を結んで売却しました。

売却前に一通り専門業者にボイラーなどの機器類を点検してもらい、悪い所は修理もしました。

瑕疵担保責任の保証期間を1ヶ月に設定していましたが、保証期間経過後に、買主がリフォームをするために天井を剥いだところ、屋根裏がカビだらけだったとクレームがつきました。

22年の間に、配管トラブルで大規模な修繕を2回行っていますが、2回とも火災保険で対応しました。

その都度、業者に任せていたので、買主に指摘されるまで私は屋根裏がカビだらけだったことを知りませんでした。

おそらく、1回目の修繕をした業者の手抜き工事が原因と思われますが、私は別荘として年に2ヶ月程度しか住んでいなかったので、カビが生えていることを知らなかったし、なんの問題もなく住んでいました。

もちろん、買主にカビのことを隠して売却したつもりもありません。

この場合も売主に責任があるんでしょうか?これで瑕疵担保責任を問われるなら、契約を結ぶ意味がありません。

このケースの場合、天井を剥がしたことで初めて発見されたこと、別荘として利用していたことを考慮すると、売主が事前に把握していたとは考えにくい状況です。

ですから、隠れた瑕疵について1ヶ月で責任を問われないなら、買主には気の毒ですが、損害賠償を払う必要はないと思われます。

誠意を持って謝罪し、きっぱりとお断りしていいでしょうが、買主としては予想以上の修繕費がかかり大打撃ですので、相手の心中を察して言動に気をつけ、これ以上のトラブルに発展しないように細心の注意を払う必要があります。

相手が訴訟を起こすことは案外簡単ですが、この場合、訴訟を起こしてもお互いに損する結果になると思うので、お互いのために、不要のトラブルを招かないように冷静に対処することが大切です。

まとめ

トラブル例でも見た通り、家を売る際の揉めごとの多くが、不動産会社の対応瑕疵担保責任に集中しています。

この2つの点に関しては、失敗しないようにきちんと対策を考えて、不動産売却に挑んだほうがいいでしょう。

トラブルなしで家を売るポイントはコミュニケーション!

トラブルの多くが、相手とのコミュニケーション不足に原因があります。

不動産会社を選ぶときも、「営業マンや不動産会社が信頼できるか?」「納得のいく売却をしてくれそうか?」会話を通して見極める必要があります。

また、買い手が現れた場合は、買主との交渉になりますから、伝えるべきことはきちんと伝え、譲歩できる点については、快く譲歩したほうが結果的に納得のいく売却ができます。

「家を売るのは初めてだから」「素人だから」という理由で、相手に丸投げせず、確認すべきことは確認し、誠実に対応することで、トラブルを回避し、不動産売却を成功させてくださいね。

家を売る際の4大リスク&各リスクの回避策を徹底解説!

2019年5月10日

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