新築のマンションや一戸建てを購入しても、離婚や転勤、親の介護などの理由で、「購入後すぐに売る必要が出てきた」という人もいるのではないでしょうか?
特に最近は、離婚が原因で購入したばかりの新築物件を売るケースが増えているそうです。
そこで今回は、買ったばかりの新築物件を上手に売るのに役立つ情報をまとめてご紹介します。
新築物件とは?
物件の定義には『新築』と『中古』の2つがあります。
ただ、それだと、ほとんど住んでいない家も中古物件になってしまいイメージが下がります。
そこで考え出された表現が『築浅』と言われています。
売却予定の家は「新築」それとも「中古」?
新築住宅は、一度でも人が住むと『中古物件』になってしまいます。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、次の条件を満たさないと『新築』と呼ぶことはできません。
- 新たに建設された住宅で1度も人が住んでいない
- 建築工事完了(竣工)から1年以内
つまり、まったく住んでいない新築住宅でも、竣工から1年が過ぎてしまうと『中古』となってしまうのです。
仮に、入居前に売る必要が出てきた場合は、住むのを待って、新築として売り出せるようにすることをおすすめします。
なぜなら、日本のマイホーム購入希望者は新築を好む傾向があり、広告などで「新築として扱われているか?」「中古として扱われているか?」で、購入検討者が受ける印象が大きく変わってしまうからです。
新築物件を売るための必須条件
新築物件を売るには、新築ならではのハードルがあります。
それは、「ローンを完済できるかどうか?」ということです。
この点について、詳しく解説します。
抵当権ありの新築物件を売ることができない理由
自己資金のみで新築物件を購入できる人は少ないので、ほとんどの人がローンを組むと思いますが、ローンの金額に関係なく、ローンを完済しないと家を売ることはできません。
これには、「抵当権」が関係してきます。
抵当権とは、ローンの返済に滞納があった場合、返済の代わりに家を差押え、裁判所で競売する権利のことです。
ローンを組んで買った家には必ず抵当権が設定されていて、これが抹消されない限り、家が競売にかけられてしまう可能性があるのです。
ですから、『抵当権が抹消されていない家を売ることはほぼ不可能』といっても過言ではありません。
抵当権を抹消するには、ローンを完済する必要があります。
売却代金だけでローンを完済できればいいですが、それが難しい場合は、別途資金を補てんしてでもローンを完済しなければなりません。
新築物件の場合はローンの残債も大きいので、『売却額も含めて抵当権を抹消できるだけの資金を準備できるか?』が、家を売ることができるかどうかの分かれ目になるでしょう。
築浅物件を新築同等の価格で売却することが難しい理由
築浅物件というのは、新築に近いきれいな家を新築よりも安く手に入れることができるとあって、とても人気です。
ただ、売る側としては、ローンもまだまだたくさん残っていることもあり、「少しでも高く売りたい」と思いますよね?
ただし、築浅物件になってしまうと、新築並みの価格で売ることはまずできません。
これには、買主側が抱えるデメリットが関係しているので、この点もきちんと押さえておきましょう。
- 設備等の保証期間が短い状態で買わなければならない
- 固定資産税の減額を受けられない
- 瑕疵担保責任の適用期間が大きく異なる
設備等の保証期間が短い状態で買わなければならない
スレート瓦の屋根やコーキング剤、水回り設備などの劣化は早く、10年程度で修繕が必要になるものもあります。
築5年の築浅物件の場合、平均的に5年程度で修繕費が発生することになり、新築との差を考えると見逃すことができないデメリットです。
固定資産税の減額を受けられない
新築住宅は、120㎡までに限られますが、固定資産税が3年間半額になる特例があります。
さらに、新築マンションの場合は耐火建築物に該当するので、特例期間が5年間になります。
固定資産税の税率は1.4%なので、課税時点の評価額が4,000万円の家では、56万円の固定資産税がかかりますが、新築だとその半額の28万円ですみます。
一方、築浅物件の場合は、固定資産税の減額を受けられなかったり、減額される期間が短かったりします。
これを理由に買わないという人はあまりいないとは思いますが、少なくとも新築と同じ価格では買わないでしょう。
瑕疵担保責任の適用期間が大きく異なる
新築住宅の建築請負契約における請負人や新築住宅の売買契約における売主は、それぞれの注文者や買主に対して、10年間の瑕疵担保責任を負うことが品確法で定められています。
ところが、築浅物件も対象になる中古住宅にはこの規定は適用されません。
さらに、個人の売主が長期間、瑕疵担保責任を負うのは負担が大きすぎるため、築浅物件でも瑕疵担保責任期間を数ヵ月、長くても1年か2年程度しか設定しません。
築浅物件を探している購買者層には、新築も視野に入れて物件を探している人も多いです。
そのため、瑕疵担保責任期間が短いとなると、割安感が感じられず、「築浅物件ではなく新築を購入しよう」となってしまうのです。
新築物件を売却する時の注意点
新築物件や築浅物件を購入後、すぐに売るというケースはそれほど多くはありません。
売る側としても、買ったばかりの家をすぐに売ることはできれば避けたいですよね。
それだけに、買う側も「家に何か問題があったのではないか?」と不安に思ってしまいます。
そのため、新築物件や築浅物件などをすぐに売る場合は、買主側の心理に注意して、不安を取り除く必要があります。
ここでは、買主側の不安を取り除く方法について解説します。
売却の理由を誠実にきちんと伝える
買主側の不安を取り除くには、『物件を売る理由をきちんと誠実に伝える』ことが大切です。
転勤や介護などは割と説明もしやすいですが、人には話しづらいプライベートな内情でもきちんと説明すべきです。
さらに、瑕疵などの住宅としての性能や住環境に関する内容、また、住んだことで受けたであろう心理的な悪影響がある場合は、それを買主側に告知する義務が売主にはあります。
もしこういった事実を意図的に隠して売買し、購入後に買主がその事実を知ったり損害を受けた場合は、損害賠償請求をされたり、契約解除になることもあります。
また、先ほどご紹介したようなデメリットがあるために、築浅物件は新築ほど高い価格で売ることができません。
新築・築浅物件を売却する際にかかる費用
新築や築浅の物件を売るには、『ローンの完済』が必須条件でした。
しかし、家を売る際には『費用』が発生します。
仮に、ローン残債と同じ金額で売ることができても、実際に手元に入るお金は諸費用が引かれた額になります。
そのため、家を売る場合は発生する諸費用についてもよく考えておかないと、予想以上にお金が必要になり、売却後の計画が狂ったり、最悪の場合、家が売れないということにもなりかねないので注意が必要しましょう。
家を売る場合は、主に次のような費用が発生します。
- 売買契約時の印紙税
- 仲介手数料
- 抵当権を抹消するための費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売買契約時の印紙税
印紙税とは、売買契約書に収入印紙を貼り付けることで、納税したことになる税金のことです。
税額は売買金額に応じて変わりますが、マイホームの価格帯となることが多い1,000万円超~5,000万円までの価格帯であれば、印紙税は10,000円です。
売買契約書は、売主と買主の両者が1通ずつ保管するので、収入印紙は2枚必要ですが、両方に収入印紙を貼るのはもったいないので一方にコピーすることもあります。
その場合、原本の印紙税は売主と買主で折半することが多いようです。
仲介手数料
不動産売却時に発生する費用で忘れてはならないのが『仲介手数料』です。
仲介手数料の上限は法律で定められていて、その額を越えなければ不動産会社が自由に決めることができます。
とは言っても、ほとんどの場合、上限額が仲介手数料として請求されるので、以下の速算式を覚えておきましょう。
また、売主の依頼で通常では行わない宣伝活動や、出張して遠方の購入希望者と交渉をした場合などは、仲介手数料とは別に実費を請求される可能性があるので、契約時や依頼時に確認をしましょう。
詳しくは、「家を売る際の仲介手数料の相場や計算方法は?無料の会社は怪しい?」で解説しているので、併せてご覧ください。
ローンがある場合に発生する費用
売却予定の物件を購入する際にローンを組んだのなら、抵当権が設定されているので、それを外すために『登記』が必要です。
抵当権を外す抵当権抹消登記は、不動産1件につき1,000円かかります。
さらに、登記は買主が依頼する司法書士に任せるので、『司法書士報酬』も発生します。
こちらは司法書士によって金額が違いますが、相場としては、1件10,000円程のようです。
また、抵当権を外すためにはローンを完済する必要がありますが、繰り上げ返済に該当する場合、金融機関によっては手数料がかかる場合があります。
さらに、家を売った際に売却益が出た場合は『税金』も発生します。
家を売却した際の税金に関しては、「家を売ると所得税がかかる?計算方法や控除を活用した節税方法を解説」で詳しく解説しているのでご参照ください。
なお、家を売る際の費用に関しては「家を売るには費用がかかる!?売却時の費用をまとめて解説!」でまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
新築・築浅物件を売却する際に押えておくべきポイントについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
新築・築浅物件を売る時に気をつけるべきことは手付金の倍額を支払わなければならないこともあります。
家を売る際に発生する費用も含めて、「住宅ローンを完済できる売却金額はいくらか?」一度、きちんとシミュレーションしましょう。
新築だから高く売ることができると期待しすぎないこと
新築に近い物件ほど価値の下落は小さいですが、新築や築浅物件の売買においては、買主側も何か特別な事情があるということを知っています。
ですから、割安感がないと相手も「買おう!」とは、なかなかならないでしょう。
逆に、異様に安いと変に疑われてしまいます。
新築・築浅物件を売る際には、相場を把握して適正価格で慎重に売り出すようにしましょう。
売却予定の物件の相場を知るには、不動産一括査定サイトを使うのがおすすめです。
査定依頼は無料でできるので、活用して適正価格を割り出してみましょう。