築古の家を売る際に、雨漏りしていると、売却できるかどうか心配になりますよね。
また、『家の価値が下がってしまうのではないか?』とか『修繕してからでないと売ることができないのではないか?』など、いろいろと気になることが多いのではないでしょうか?
そこで今回は、以下のポイントにフォーカスして解説していきます。
- そもそも「雨漏り」とは何か?
- 雨漏りをしている家を売る際にはどんなことに注意すればいいのか?
- 実際に、雨漏りしている家は売ることができるのか?
築古の家を売る際にハードルになる「雨漏り」とは?
雨漏りの多くが、屋根や外壁などの防水塗膜の劣化やひび割れ、剥がれ、穴あきなどが原因で、雨水が建物内部に侵入することをいいます。
雨漏りの原因としては、その他にも、ベランダやバルコニーの防水の劣化やヒビ割れ、穴あきなどで雨水が、階下に侵入するというものもあります。
家を売る際に雨漏りを発見したら
雨漏りは、浸水してなくても、放置していると躯体内部の腐食やシロアリ被害に発展する恐れがあります。
建物自体の劣化も早めてしまう可能性があるので、雨漏りを見つけた場合は、家を売る気がなくても、早めに専門業者などに調査を依頼したほうがいいでしょう。
1つ注意してほしいのが、雨漏りの形跡は天気が良くなると乾いて消えてしまいます。
けれど、侵入経路は残っているので、雨漏りが発生したら、写真をとって現状を記録しておきましょう。
雨漏りが発生している家を売る際の注意点
家を売る際に、その家が雨漏りしている場合、その旨を告知する義務があります。
法的な用語でいえば、『告知義務』と『瑕疵担保責任』となります。
もし、雨漏りに気づいていながら黙って家を売った場合、責任を追及され、トラブルのもとになりますので、しっかりと押さえておきましょう。
雨漏りしている家を売る時の「告知義務」
雨漏りが発生している家を売る際には、売主は雨漏りしている事実を買主に告知することが義務付けられています。
この雨漏りの告知については、「付帯設備表及び物件状況等報告書」に記載する方法が一般的です。
この書類で雨漏りの事実を告知することで、買主はその事実を知った上で家を購入するとみなされます。
実際には、媒介契約を締結するタイミングで、不動産会社に告知しておくといいでしょう。
雨漏りしている家を売る時の「瑕疵担保責任」
また、雨漏りは「瑕疵担保責任の対象」になります。
瑕疵担保責任とは、物件の隠れた瑕疵(キズ、不具合、欠陥)が発見された場合に、売主が買主に対して修理などの責任を負うことです。
不動産における瑕疵とは、主に以下のものが該当します。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 給排水管の故障
- 建物の重要な構造部の欠陥や腐食
- 地中埋設物
引き渡し後、一定期間内にこれらの瑕疵が見つかると、売主には修理などをする責任があります。
ただし、家を売る相手が不動産会社などのプロの場合は、一般的に瑕疵担保責任を負う必要はありません。
また、個人間の売買でも、建物が使用できないような古い物件の場合は、瑕疵担保免責で取引することがあります。
さらに、告知義務を果たし、瑕疵担保期間が過ぎた後に雨漏りが見つかった場合は、売主は瑕疵担保責任を負う必要はありません。
瑕疵担保責任を負う期間はどれくらい?
契約自由の原則により、売主と買主の合意の上であれば、任意規定と異なる期間を特約で設定することができます。
通常の売買契約で定める瑕疵担保期間は『2~3ヶ月』が一般的です。
場合によっては、売主が瑕疵担保責任を負わないといいう瑕疵担保免責の契約も締結できます。
ただし、これらの話は、告知義務を果たしていることが前提となります。
もし、売主が雨漏りなどの瑕疵の存在を知りながら、買主にそれを告知しないで、家を売った場合は、告知義務を果たしていないことになり、瑕疵担保責任を免責する合意は無効になります。
告知義務を怠ると、契約解除や損害賠償請求のリスクを負ってしまうので、きちんと誠実に伝えましょう。
また、築浅の家に関しては、「住宅の品質確保の促進に関する法律」(通称:品確法)の救済措置があります。
どういう救済措置かというと、売主が新築住宅を売買した時に、雨漏りに関しては新築から10年間瑕疵担保責任を負い、無償での補修義務があるというものです。
雨漏りしている家を売る方法
雨漏りしている場合、「修繕しないと売れないのでは?」と考えている人もいるかもしれませんが、そうとは限りません。
雨漏りしている家を売るには、次のような方法があります。
- 現況のまま修繕費用分を値引きして売る
- 修繕してから売る
- 現況有姿で何もせず売る
- 解体して更地として売る
それぞれ詳しく見てきましょう。
現況のまま修繕費用分を値引きして売る
雨漏りがあることを告知し、その『修繕費用分を売却額から値引きして売る方法』です。
現在、雨漏りがある家を売る際の主流の方法ですが、建物の利用価値がまだまだ高く、他に重大な瑕疵がないことが前提となります。
また、雨漏りの状況や発生箇所数などで修繕費用は変わってきます。
原因箇所を特定し、施工内容や施工方法をよく検討して、買主との合意の上で修繕費用を算定しましょう。
この売却方法のメリットは、施工業者を買主が選定できることです。
また、修繕費用分の値引き交渉に応じれば、現況のままで売ることができるので、すぐに売りたい場合などもこの方法がいいでしょう。
デメリットは、買主が「雨漏りの他にも瑕疵があるんじゃないか」と疑ってしまい、物件にネガティブなイメージがついてしまう可能性があるということです。
積極的に情報開示して、誠意を伝えることで、買主の不安を払しょくし、マイナスのイメージを持たれないように売主は注意をしましょう。
修繕してから売る
家を高く売りたい場合は、『修繕してから売る』というのが有効な方法です。
ただ、この方法のデメリットとなりうるのが、施工業者の選定です。
複数の業者に見積書や工事提案書を提示してもらい、誠実で信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
もう一つ、気をつけることは、工事費用です。
雨漏りが原因の場合、コーキング補修などの簡易的な作業で済むなら、工事費用も高額にはなりませんが、経年劣化による雨漏りで、大規模な工事が必要な場合は100万円単位で費用が発生する可能性があります。
築古の家などは、高額な修理費用をかけるよりも解体して更地にして売却したほうが、結果的に良い場合もあるので、工事費を含めて総合的に判断しましょう。
現況有姿で何もせず売る
建物が築古でボロボロだったり、建物がこれ以上利用できない物件等の場合は、雨漏りも修繕せず、そのままにして、『現況有姿で売る方法』もあります。
この方法のメリットは、売主の手間が一切かからないことです。
建て替え前提で売るので、修繕費用の見積もりの必要もありません。
この方法で売る場合は、『現況有姿・瑕疵担保免責』として売却するといいでしょう。
デメリットとしては、次のことが考えられます。
- 価格を下げないと売れない
- 見た目が悪いので、お客から敬遠されがち
このため、買取業者から提案や打診を受けることもあるでしょう。
解体して更地として売る
建物がボロボロの場合、『解体して更地にしてしまうのも一つの方法』です。
更地にすれば、見た目もスッキリし、売りやすくなるし、建物の管理や建物に対する瑕疵担保責任もなくなります。
この方法の気をつけるべき点は、『解体費用』と『再建築不可物件か否か?』ということです。
解体工事の費用相場は次の通りです。
構造 | 坪当たりの単価 |
---|---|
木造 | 3万円~4万円 |
鉄骨造 | 4万円~5万円 |
鉄筋コンクリート造 | 5万円~8万円 |
ご覧のとおり、木造の家でも、解体するには100万円以上かかる場合があるので、事前に資金計画をしっかりと立てておきましょう。
更地にして売る場合は、売りたい物件が『再建築不可物件』でないかも確認しましょう。
再建築不可物件を解体してしまうと新しく建物を建てることができなくなり、売るのが非常に難しくなるので、注意してください。
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まとめ
「雨漏りしているから売れない」「高く売るのは難しい」ということは決してありません。
そのため、売ることを考えている家が雨漏りしていても、あまり悲観的にならないようにしましょう。
実際の売却事例の中には、相続した空き家で3年放置した結果、酷い雨漏りが発生していたが、売りに出したら3ヶ月程度で売れたという事例もあります。
雨漏りしている家を売るなら正直に告知すること
後々のトラブルを避けるためにも、売りたい物件が雨漏りしている場合、そのことはしっかりと伝えましょう。
実は、不動産の購入希望者の中には、築古物件をリフォーム前提で探している不動産投資家などもいます。
そういった投資家の中には、そういう物件を『お宝物件』と考えている人もいるので、きちんと雨漏りを告知し、誠実な対応をするように心掛けましょう。